ワシが描いちゃる

「ゴラぁぁぁっ！！

　寒いのに、いつまで喋っとるんじゃぁっ！！」

正月、オヤジの家に子供をワラワラと引き連れて朝からオジャマしていた。

僕には３人の子供がいるので、もちろん一緒に。

「おい、もう帰れ。やかましいわ・・・」

笑顔で弱音を吐くオヤジ。

僕の子供は、ジイちゃんに容赦しない。

元気だ、どいつもこいつも。

ま、コレばっかりは隔世遺伝だとあきらめてくれ。

そんな中、親友が大阪からコチラへ来ている、と連絡があった。

しかも、今からソッチに行くから少し会えないか、と。

そいつは僕と同じ年なのだが、

なかなか子宝に恵まれず、

大変苦労してできた赤ちゃんがいる。

写メでしか見たことのない親友の赤ちゃん、

見たいに決まってる！

僕も子供も大はしゃぎ。

なにせ初詣には

「もう一人、赤ちゃんができますようにっ！」

と、声に出して手を合わてせるような奴ら。

赤ちゃんに新年早々会えるなんて、

ある意味お年玉だ。

（てか、それで満足してくれよ・・・）

早速その夕方、親友家族が来てくれた。

お互い軽い立ち話のつもりで、

親友家族は車を降り、再会を喜んだ。

何よりも親友や奥さんとも久々の再開だ。

積もる話題もそこそこに、やっぱり赤ちゃんが中心となる。

あぁ、かわいい・・・。

そこに子どもたちも、

「ぼくに抱かせて」

「わたしにも抱っこさせて」

「ぼくも、ぼくも〜」

寒さも忘れ、楽しい時間を過ごしていた。

すると、

「ゴラぁぁぁっ！！

　寒いのに、いつまで喋っとるんじゃぁっ！！」

と、犬の散歩をしていたオヤジが、

（と言うより、明らかに偵察に来たオヤジが）

遠くの方でブチ切れてて叫んでいる！！

あちゃーーー。

親友とは中学からの付き合い。

オヤジがどんな人間なのか、良く知ってくれている。

「アハハ、お前のオヤジさんらしいな。元気そうで何より！」

そう言って、笑って帰っていった。

その後は、当然のお説教。

「赤ちゃんいるのにお前は・・・・！」

「寒いのがわからんのか・・・！！」

「赤ちゃんが風邪引いたら・・・！！！」

そこで、あわてて話をそらす。

いかに苦労してできた子供だったのかを。

奥さんの苦労や、親友の苦労を。

どれほど望んでいたのかを。

すると、

「そんな苦労した子なら、なおのこと大事にせんかいっ！」

と一括した後、

「そんな苦労したんか・・・。そうか・・・。

　そうか・・・。

　・・・・・。

　よし。

　すぐにでも写真送ってこい、って言え。

　描いちゃるぅ！！」

・・・しめしめ。

オヤジは最近特に感動屋さんだ。

こうなりゃコッチのもん。

すぐに親友にメールし、写真を数枚送ってもらった。

そして、出来上がったのがTOPの写真。

出来上がりを見て、喜んでくれたのは言うまでもない。

そしてこの話には、続きがある。

それは、またの機会に・・・。